北児島医師会地域包括ケアネットワーク・北児島ケアネットについて
- 北児島医師会会長
北児島医師会地域包括ケアネットワーク・北児島ケアネット会長
庵谷 和夫
- 北児島医師会というのは、岡山市南区の一部、倉敷市郷内地区の医師会で、中学校区でいうと、藤田・興除・灘崎・郷内の4中学校区になります。
団塊の世代が75歳をむかえる2025年に向けて進められている『地域包括ケアシステム』では、安心して住み慣れた地域で自分らしく人生の最後まで暮らし続けることを目標として、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されることが重要です。
そして、その具体的な内容は地域により様々です。私たちが暮らしているこの地域でどのようなシステムを作り上げるべきかを専門職だけでなく、地域の皆様と考えていくための会であります。
よりよい会とするために、今後も勉強会・研修会を開催する予定でありますので、皆様の参加と率直なご意見をお寄せいただければ幸いです。
平成28年7月1日
北児島ケアネット設立の経緯と今後の方向性
北児島医師会 地域包括ケア担当理事
北児島医師会地域包括ケアネットワーク・北児島ケアネット運営委員長
西崎 進
- 北児島ケアネット設立の経緯
- この度、皆様のご協力により北児島医師会が主導でおこなう地域包括ケアネットワーク「北児島ケアネット」のホームページ(HP)をアップロードすることができました。
北児島ケアネット設立の経緯としましては下記に述べます如く庵谷和夫医師会長の不退転の決意により開始されたものです。
私は、平成18年より医療連携システムである「もも脳ネット」(県南東部における急性期病院と回復期病院の連携)、平成24年より「晴れやかネット」(ICTを用いたカルテ開示と拡張機能を用いた医療、介護連携)の運営委員として活動していますが、厚生労働省が提唱した地域包括ケア構想が次第に現実味をおびてきた平成25年頃よりこれらのシステムを利用した地域包括ケアシステムが構築できないものかと模索してきました。 しかし、前者は岡山県南東部の二次医療圏を対象としたものであり、後者は岡山県全体をカバーする組織であるため適用範囲が広すぎることに気付きました。
地域包括ケアシステム自体が医療、介護、行政、福祉を巻き込んだ統合システム(もしくはネットワーク)である関係上構成が非常に複雑多岐にわたり、懸案事項を現状に合わせて解決する能力の必要性に迫られるため、これらの2システムでは地域包括ケアシステムの一部もしくは全部をカバーすることはとても無理だと気付かされました。
そんな時、平成27年4月の北児島医師会総会で庵谷医師会長から北児島医師会で地域包括ケアシステムを構築しようという提案がありました。 地域包括ケアシステムの基本コンセプトは1〜数中学校区単位が適当とされています。 我が北児島医師会では岡山市南部の興除・藤田・灘崎と倉敷市郷内地区の4中学校区ですので「顔の見える関係」を築くのには丁度良いのではないかと感じられました。 しかし、2025年までに8-9年かけてシステムがフル稼働できるように準備し、2040年(団塊の世代の人口が激減する)くらいまで続けられるシステムを構築するには、かなりの時間とエネルギーを要することは明白であり、岡山県医師会の地域包括ケア委員である私にとっても着手するには相当の勇気と覚悟が必要と思われ、躊躇すると同時に態度を保留していました。 でも、庵谷会長の決意はかたく、毎月の理事会のたびに「そろそろ地域包括ケアを立ち上げたいと思います。」と言われるため、重い腰を上げ平成27年9月より北児島医師会内で検討を始めました。 事務局を医師会内に設置し、運営委員会の設立および運用規定を作成し平成27年12月3日に第一回運営委員会を開催し、平成28年3月3日に第二回運営委員会および第一回シンポジウム、6月2日に第三回運営委員会および第二回シンポジウムを開催し現在に至っています。
そしてこの度HPを立ち上げました。これからさらに北児島地区における医療、介護、行政、福祉情報をこの地区の住民全員で共有できるよう充実を図ります。
- 北児島ケアネットの理念
- 庵谷会長が冒頭のご挨拶で書かれている「安心して住み慣れた地域で自分らしく人生の最後まで暮らし続けることを目標として、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるシステム」という言葉に尽きますが、くだけた言葉に言い換えると「今の崩壊しかけている地域社会を維持するのは行政のみに頼っていてはとても無理なので、医療・介護・行政・福祉の連携で地域の再構築を目指しましょう」ということだと思います。
- 運営委員会の構成
- 運営委員会の構成に関しましては地域包括ケアシステム自体が医療、介護、行政、福祉(地域の代表)が互いに補完しあう統合システムとし、各分野の各中学校区代表数名ずつ参加していただくつもりでいました。
しかし、振り返ってみれば平成12年(2000年)介護保険が開始した当時、医療と介護の連携が重要であると提唱されたにも関わらず、医療側からは介護職の医療知識の少なさに不満を訴え、介護職側からは医療職は専門用語と略語を使いすぎるといった非難が続出し、連携はほとんどできない状況でした。それから15年経過した昨今では医療側・介護側お互いが連携の必要性を理解し、スムーズな連携が行われつつあります。このように医療と介護のスムーズな連携構築に約10年以上かかった経緯を考え、他の職種と比較して障壁が高いと思われる福祉関係(地域の代表)の方にはまずはオブザーバーとして参加いただき、運営委員会の組織が安定してから委員として参加していただきたいと考えています。
- 北児島ケアネット運用規定
- HPの「北児島ケアネットとは」の中にありますが、上記の経緯を踏まえて見ていただければ組織としてどのように動いて行こうとしているのかご理解いただけるかと考えます。
- 北児島ケアネットHPについて
- 「資料室」の中には北児島医師会および北児島ケアネット(運営委員会記録、シンポジウム記録、アンケート結果など)の公開可能な情報を掲載しています。 いままで非公開であった情報もかなり含まれていますのでご一読ください。
また、北児島ケアネットに関する「お問い合わせコーナー」も設ける予定です。 医療、介護、行政、福祉に関するご質問、ご相談がある方はご利用ください。 担当者が検討した上でメールで回答させていただきます。
その中で公開したほうがよさそうな情報は投稿者の同意を得たうえで「Q&Aコーナー」に掲示させていただく予定です。
- 北児島ケアネットの今後の方向性と予定
- 北児島ケアネット設立時に念頭に置いていたのは下記の5項目です。
①北児島ケアネットのHPをアップロードする(今回達成できました)。
②福祉関係(町内会長、民生委員、愛育委員ほか)の代表者に運営委員に参加していただき、運営委員会の構成を完成する(2-3年後までに)。
③北児島ケアネットをワンストップサービスの場とする(2-3年後までに)。
④地域倫理委員会の設立(4-5年後までに)。
⑤在宅ホスピスの周知活動 をおこなう(6-7年後までに)。
各項目の詳細については漸次説明をおこないたいと思います。
今後とも北児島ケアネットに対する温かいご支援をよろしくお願い致します。
平成28年7月1日
北児島ケアネット運用規程(平成27年12月3日発効)
第1章 総則
- (名称)第1条
- この会は、北児島医師会地域包括ケアネットワークといい、略称を北児島ケアネットとし、どちらも正式名とする。
第2章 目的及び事業
- (目的)第2条
- 北児島およびその周辺地域における行政、医療、福祉、介護各分野の連携が継ぎ目なくおこなわれ、包括的ケアの推進を目的とする。
- (活動の種類)第3条
- この会は、前条の目的を達成するため、次の種類の活動を行う。
(1) 医療、福祉、介護の増進を図る活動
(2) 医療、福祉、介護を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- (事業の種類)第4条
- この会は、第2条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1) 医療、福祉、介護に関する調査研究事業
(2) 医療、福祉、介護に関する情報収集及び情報提供事業
(3) 地域医療、福祉、介護連携を実践する自治体、法人など団体等への助言および支援事業
(4) 地域医療、福祉、介護連携に関する普及啓発事業
(5) 地域医療、福祉、介護連携に関わる国内外の団体との情報交換及びネットワーク構築事業
(6) その他この会の目的を達成するために必要な事業
第3章 会員
- (会員)第5条
- この会の会員は、次のとおりとする。
この会の目的に賛同し、この会の活動に参加する個人及び団体
- (入会)第6条
- 会員については、医療、福祉及び介護関係者であり、会員として入会を希望して事務局に申し出たものとする。
第4章 運営
- (運営)第7条
- 運営は「北児島ケアネット運営委員会」の決定によりおこなわれる。
第5章 北児島ケアネット運営委員会
- (構成)第8条
- この「北児島ケアネット運営委員会」は委員(会長、副会長、運営委員長、運営委員)により構成される。
(1)会長は北児島医師会会長が就任する。
(2)副会長は北児島医師会副会長が就任する。
(3)運営委員長は北児島医師会介護保険担当理事が就任する。
(4)運営委員は北児島医師会理事および会員の中の行政、医療、福祉、介護分野の代表が就任する。
- (任期)第9条
- 委員の任期は北児島医師会役員の任期に準じるが、再任は妨げない。
- (開催)第10条
- 委員会の定期開催は年2回以上おこなわれ、臨時委員会は委員の発議により開催される。
- (議長)第11条
- 議長は当日出席した委員の中から選出する。
- (事務局)第12条
- 事務局は北児島医師会内に設置する。